訪問介護のお仕事や、やりがいとはどのようなものなのでしょうか?在宅介護サービス「アイ・ケアステーション」で訪問介護に携わる梶原さん、渡辺さんに、日々の業務についてリアルなご意見を伺いました。
〇梶原さん(写真左)…介護職員歴6年 病院事務のパートから介護職員へ転身。
〇渡辺さん(写真右)…介護職員歴4年 高校卒業後、現事務所へ就職。
お客様の自宅に伺い、状態にあったサポートを
ー介護の道に進んだきっかけ、そして「訪問介護」を選んだ理由を教えてください。
(梶原)私は以前病院で事務を行っていたんですが、そこには介護施設も併設されてて、日々職員やお客様を目にしているうちに、だんだん興味が出てきました。そこで、当時のホームヘルパー2級を取得することにしたんです。訪問介護を選んだのは、子どもが小さかったのである程度時間の融通が利く仕事が良かった、という理由です。空き時間に家事や買い物ができるのも魅力でした。
(渡辺)私の場合は、ずっと建築関係のアルバイトをしていて「お客様の顔が見えない」という不満があったので、「人と関わる仕事をしたい」と考えたのが介護の仕事を選んだ理由です。訪問を選んだのは、高校の就職課に当事務所の求人が出ていたから。最初はたまたまだったんです(笑)。
ー渡辺さんは高校卒業後に訪問介護の仕事を始められたということで、介護も家事も経験が無かったと思うのですが、困ったことはありませんでしたか?
(渡辺)まずお客様が皆さん良い方ばかりでしたし、はじめのうちは先輩と一緒に訪問して教えてもらえたので、経験が無くてもスムーズに仕事に入ることができました。また当事務所の場合、男性職員の比率が高いためケアマネさんから依頼される仕事も力仕事が多く、細かい家事のような仕事はあまり求められなかったので、家事ができないからということで困ったことは無かったです。
(梶原)担当を決める際はお客様の状態や性格、サービスプラン等を鑑みて、最適だと考えられる職員を割り当てるようにしているので、大きなミスマッチが起こりにくいと思いますね。人と人とのことなので、どうしても「あう・あわない」はありますから。
ー訪問介護のお仕事内容について教えてください。
(梶原)お客様の居宅にうかがい、ADLにあったサービスを提供します。排泄介助、食事介助、入浴介助、外出介助等の身体介護と、洗濯やお掃除や調理等の生活介助、大きく2つに分けられます。身体介護にせよ生活介助にせよ、全てこちらでやって差し上げるのでなく、調理補助であればお客様がやりづらい包丁作業だけこちらで対応し、その他はご自分でやっていただくなど、できる限りお客様のできることや意欲をサポートできるよう心掛けています。
(渡辺)意欲が高く自立支援に積極的なお客様もいますが、そうでない方もいてなかなか難しいですね。本当は散歩をする予定だったのに「行きたくない」と断られてしまったり。無理やり連れて行くわけにはいかないので、少しでも自主的に動いていただけるよう働きかけるようにしています。「5分だけで良いので!」とハードルを下げてみたりですとか、例えばお花が好きな方だったら「お花を見に行きませんか」と何か楽しめることを提案してみたりですとか。
職員同士の連携がカギに
ーそれぞれどのようなお客様を担当していらっしゃるんですか?
(梶原)私は調理等の家事が必要な方が多いですね。全員で20名くらいです。
(渡辺)私は身体介護等、力が必要な方が多いです。全員で30名くらいです。
(梶原)ただ担当制はとっていますが、情報はみんなで共有するようにしています。担当だけに全て任されることはありませんので、急な休みが必要な時など、安心して他の職員に変わってもらうことができます。逆に担当外の方を訪問することになった場合は、責任を持って訪問し、状況をきちんと報告するようにしています。
(渡辺)職員間の連携はすごく大事ですね。何かあったら必ず上司に報告して助言をもらい、次に役立てるようにしていますし、次に入る職員への引継ぎも必ず行います。
事業所で受け持っているお客様の情報は、職員皆ある程度頭に入っていますね。
ースケジュールはどのように組まれていますか。
(梶原)シフト制なので、勤務日や時間を選ぶことができます。私の場合、以前は子どもが小さかったのであまり入れませんでしたが、今は下の子も小学生になったので大体週休2日、1ヶ月のうち約20日勤務しています。1日の勤務時間はトータル9時間程度となっており、朝早かったり夜遅くに訪問が必要な場合は、開始や終了の時間を調整して9時間以内に収まるようシフトが組まれます。
(渡辺)開始と終了の時間はあらかじめ決まっていますが、お客様の体調が急に悪くなるなどして、イレギュラーな対応が入ることもありますね。他にも、予定に入っていないことを頼まれて時間内に終わらないことも。サービス時間の延長が必要になったらスケジュールは組み換えになります。
訪問しているうちに「このサービスは計画に含まれていないけど、追加した方がいいな」と分かってきた場合は、ケアマネさんに相談してケアプランを変更してもらうこともあります。
お客様のニーズに応えられることが嬉しい
ー訪問介護のやりがいや、仕事をしていて良かったと思うこと教えてください。
(梶原)お客様のニーズに応えられることです。施設と違ってお宅に伺うので、1人ひとりの要望に応えることができますし、生活習慣や意向を尊重することができます。
(渡辺)皆さん何をして差し上げても喜んでくださるんですよね。お客様がやりたくてもできないことを代わってして差し上げたり、やりたいことをサポートできることにやりがいを感じます。外出が本当に大好きなお客様がいらっしゃるんですが、一緒に外出すると本当に楽しそうにされています。以前1人で外出したこともあるようなんですが、その時はとても大変な思いをして、ご家族もかなり心配されたということでした。生きがいを感じる手助けになっていると思うと「やっていて良かった」と感じます。
(梶原)すごく前向きで、目標や生きがいを持っているお客様が多いので、生き方を勉強させてもらえる、ということもあげられます。悩みを相談することもあるんですが、すごく親身にアドバイスをしてくださるんですよね。皆さん主婦経験も長いので、料理などを教えていただくこともありますし、生活スタイルを見ているだけでも刺激になります。私の方がサービスを提供するだけでなく、色々与えてもらうことも多いと感じます。
(渡辺)あとは移動など自由になる時間が結構多いので、良い気分転換になります。隣に上司がずっといて、息がつまるということも無いですし(笑)。一人で余裕のある時間が持てるというのは、訪問介護ならではのメリットだと思います。
ー逆に、訪問介護ならではの大変なことはありますか?
(梶原)まず、「悪天候」が困りますね。雪や台風など予想がたてられる場合は、可能な限りスケジュールを調整して、どうしても行かなければならないお宅だけ訪問するようにしていますが、予想がつかないゲリラ豪雨なんかは本当につらいですね。基本はバイク移動ですが、どうしようもない場合は事務所が車を出してくれます。
(渡辺)そもそもお客様のお宅に一人で訪問するというのが、大変なことだと思うんですよ。もちろん何かあった場合は上司にすぐ連絡しますが、基本的には1人で全部判断しなければならないので。最悪、訪問したら倒れているかもしれない、そういった怖さはあります。経験を重ねれば適切な対応ができるようにはなりますが。
(梶原)特に若い人にとって大変かな、と思うのはコミュニケーションです。年齢差が大きいお客様とコミュニケーションをとり、信頼関係を築いていかなくてはならないので。コミュニケ―ションといってもただおしゃべりすれば良いのではなく、「この方は話したいんだな」、「この方は淡々とケアを受けたいんだな」など、性格から対応を見極める必要があります。難しいように感じますが、ケース数をこなすことでできるようになってきます。
(渡辺)コミュニケーションも「慣れ」が大事ですよね。私も最初は上手くできませんでしたが、引き継ぎ時にお客様の人となりや趣味を教えてもらい、だんだんコミュニケ―ションがとれるようになりましたし、経験を積むうちにはじめての方でもどんな対応をすれば良いか分かるようになりました。
求められるのは、「観察力」と「柔軟性」
ー訪問介護員に求められるのはどのようなスキルでしょうか?
(梶原)ささいなことに気付ける「観察力」だと思います。「お話が好きな方なのに今日は口数が少ないな」とか、「顔色がちょっと悪いかな」とか、「皮むけができているな」とか。
そういった小さな変化に気付けないと、体調不良など大事なことを見過ごしてしまいます。
(渡辺)自分の考えに固執し過ぎない「柔軟な対応」も必要だと思います。同じサービスでも人によってやり方は変わるので、できる限りお客様の要望を受け入れ、最善だと考えられる方法をとるべきです。もちろん危険がある場合や、時間等の理由から難しい場合は別ですが、できる限りお客様を尊重して欲しいです。
ー今後の目標を教えてください。
(梶原)「男性が多いので、力仕事系の依頼が多い」とお話しましたが、もう少し女性が増えれば対象のお仕事も増やせるので、女性がもっと働きやすい職場にしていきたいです。
待っているだけんなく、こちらからも「力仕事だけじゃなく家事等の仕事もできる」ということを発信して、女性向けの仕事を獲得していきたいですね。
(渡辺)去年、入社時から目指していたサービス提供責任者になれたので、介護職員としてだけでなく、今まで管理職がやっていたようなサ責としての仕事もできるようにしていきたいです。
ーありがとうございました!
(左)梶原 香織 (右)渡辺 力 (共に アイ・ケアステーション 介護職員・サービス提供責任者)(梶原さん)介護職員歴6年 病院事務のパートから介護職員に転身。訪問介護員としての職務を全うしながら、時間をやりくりして主婦業も両立している。
(渡辺さん)介護職員歴4年 高校卒業後、現事務所へ就職。2016年には念願のサービス提供責任者資格を取得し、仕事の幅を広げている。
≪取材協力≫株式会社N・システム(在宅介護サービス アイ・ケアステーション運営)
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